傷病者の耳元で「大丈夫ですか」または「もしもし」と大声で呼びかけながら、肩をやさしくたたき、反応があるかないかをみます。
返事があれば訴えを聞き、必要な応急手当を行います。
誰かが突然倒れるところを目撃したり、倒れているところを発見した場合には、近寄る前に周囲の安全を確認します。車が通る道路などに人が倒れている場合などは、特に気を付けます。
状況にあわせて自らの安全を確保してから近付きます。
傷病者の耳元で「大丈夫ですか」または「もしもし」と大声で呼びかけながら、肩をやさしくたたき、反応があるかないかをみます。
返事があれば訴えを聞き、必要な応急手当を行います。
助けを求め、協力者が駆けつけたら、「あなたは119番へ通報してください」「あなたはAEDを持ってきてください」と具体的に依頼します。
協力者が誰もおらず、救助者が一人の場合には、次の手順に移る前に、まず自分で119番通報をしてください。また、すぐ近くにAEDがあることがわかっている場合には、AEDを取りに行ってください。
119番通報すると、通信指令員が呼吸の確認等、次の手順を指導してくれます。
傷病者が「普段どおりの呼吸」をしているかどうかを確認します。
傷病者のそばに座り、10秒以内で傷病者の胸や腹部の上がり下がりを見て、「普段どおりの呼吸」をしているか判断します。
反応はないが、「普段どおりの呼吸」がある場合は、様子を見ながら応援や救急隊の到着を待ちます。
次のいずれかの場合には、「普段どおりの呼吸なし」と判断します。
傷病者に「普段どおりの呼吸」がない場合、あるいはその判断に自信が持てない場合には、心停止と判断し、危害を恐れることなく直ちに胸骨圧迫を開始します。胸骨圧迫によって、全身に血液を送ることが期待できます。
胸の左右真ん中にある胸骨の下半分を、重ねた両手で強く、速く、絶え間なく圧迫します。
30回の胸骨圧迫が終わったら、直ちに気道を確保し人工呼吸を行います。
傷病者ののどの奥を広げて空気を肺に通りやすくします(気道の確保)。
片手を額に当て、もう一方の手の人差指と中指の2本をあご先(骨のある硬い部分)に当てて、頭を後ろにのけぞらせ(頭部後屈)、あご先を上げます(あご先挙上)。
指で下あごの柔らかい部分を強く圧迫しないようにします。
気道を確保したまま、額に当てた手の親指と人差し指で傷病者の鼻をつまみます。
口を大きく開けて傷病者の口を覆い、空気が漏れないようにして、息を約1秒かけて吹き込みます。傷病者の胸が上がるのを確認します。
いったん口を離し、同じ要領でもう一度吹き込みます。
胸骨圧迫を30回連続して行った後に、人工呼吸を2回行います。
この胸骨圧迫と人工呼吸の組合せ(30:2のサイクル)を、救急隊員と交代するまで絶え間なく続けます。
人工呼吸ができない場合には、胸骨圧迫のみを行います。
対象 | 胸骨圧迫 | 心肺蘇生法 | |
圧迫方法 | 圧迫位置 | 割合 | |
成人 (16歳以上) |
・両手を組んで100から120回/分 ・胸を約5cm圧迫 |
胸の左右真ん中にある胸骨の下半分 | 30:2 |
小児 (1歳以上16歳未満) |
・両手又は片手で100から120回/分 ・胸の厚さの約1/3沈むまで圧迫 |
||
乳児 (1歳未満) |
・中指・薬指2本で100から120回/分 ・胸の厚さの約1/3沈むまで圧迫 |
両乳頭を結ぶ線の少し足側 |
心肺蘇生を行っている際に、AEDが届いたらすぐにAEDを使う準備を始めます。
AEDにはいくつかの種類がありますが、どの機種も同じような手順で使えるように設計されています。AEDは、電源を入れると、音声メッセージと点滅するランプで、あなたが実施すべきことを指示してくれます。落ち着いてそれに従ってください。
AEDを使う準備をしながらも心肺蘇生をできるだけ続けてください。
AEDを傷病者の近くに置きます。
ケースからAED本体を取り出します。
AEDのふたを開け、電源ボタンを押します(ふたを開けると自動的に電源が入る機種もあります。)。
電源を入れたら、それ以降は音声メッセージと点滅するランプの指示に従って操作します。
傷病者の衣服を取り除き、胸をはだけます。
電極パッドの袋を開封し、電極パッドをシールからはがし、粘着面を傷病者の胸の肌にしっかりと貼り付けます。
機種によっては、電極パッドのケーブルを接続するために、ケーブルのコネクターをAED本体の差込口(点滅している)に差し込むものがあります。
電極パッドを貼り付けると「体に触れないでください」などとメッセージが流れ、自動的に心電図の解析が始まります。このとき、AEDの操作者は「みなさん、離れて!!」と注意を促し、誰も傷病者に触れていないことを確認します。
AEDは、電気ショックを行う必要があると解析した場合には「ショックが必要です」、必要がないと解析した場合には「ショックは不要です」などの音声メッセージを流します。
「ショックは不要です」といった音声メッセージの場合は、救助者は直ちに胸骨圧迫を再開します。
AEDが、電気ショック必要と解析した場合は、「ショックが必要です」といった音声メッセージとともに自動的にエネルギーの充電を始めます。充電には数秒かかります。
充電が完了すると、「ショックボタンを押してください」といった音声メッセージとともに、ショックボタンが点灯して、充電完了の連続音が出ます。
AEDの操作者は、「ショックを行います。みなさん、離れて!!」と注意を促し、誰も傷病者に触れていないことを確認して、ショックボタンを押します。
電気ショックを行ったら、直ちに胸骨圧迫を再開します。
心肺蘇生を再開して2分ほど経ったら、再び、AEDが自動的に心電図の解析を行います。音声メッセージに従って傷病者から手を離し、周りの人も傷病者から離れます。
以後は、心肺蘇生とAEDの使用の手順を、約2分間おきに救急隊員と交代するまで繰り返します。
■電極パッドを貼る場合【傷病者の胸が濡れているとき】
濡れているときは、タオルなどで拭き取ってから電極パッドを貼ります。
【胸に貼り薬があり、電極パッドを貼る際に邪魔になるとき】
胸に貼る薬で、電極パッドを貼る際に邪魔になるものとして、ニトログリセリン製剤やぜんそく薬などがあります。これらの薬が貼られている場合は、それをはがして、肌に残った薬剤を拭き取ってから電極パッドを貼ります。
【心臓ペースメーカーや除細動器が胸に植込まれているとき】
胸の皮膚が盛り上がっており、下に硬いものが触れるのでわかります。電極パッドを貼る位置に心臓ペースメーカーや除細動器の出っ張りがあるときは、そこを避けて電極パッドを貼ります。
■電気ショックの適応がない場合
心電図の解析の後に「ショックは不要です。直ちに胸骨圧迫を開始してください。」などの音声メッセージが流れたら、電気ショックが必要ない状態です。この場合には、メッセージに従って直ちに胸骨圧迫から心肺蘇生を再開します。
心肺蘇生を開始して2分ほど経ったら、自動的にAEDが心電図の解析を行いますので、AEDの音声メッセージに従ってください。
心肺蘇生を行っている際に、AEDが届いたらすぐにAEDを使う準備を始めます。
傷病者が回復し、呼吸は十分しているけれど、意識がはっきりしていない傷病者を仰向けにしていると、舌が喉に落ち込んで息ができなくなったり、吐いた物が喉に詰まって窒息する危険があります。
このため、体を横向きにして、空気の通り道を確保し、吐いた物が自然に流れるような姿勢をとらせます。